スタッフBlog
「負けない作法」
岩出雅之(帝京大学ラグビー部監督)
2015年3月 集英社
久しぶりに図書の案内です。
私自身がラグビーに関わってきたことから、ラグビーの大学選手権で6連覇をしている
帝京大学監督の著書ということで興味を持った本です。
チームの強さの秘訣は監督の人徳ではないか、と聞いたこともあります
(もちろんラグビーの練習、トレーニングや栄養管理などの要因もありますが)。
特に興味深かった部分について少し紹介します。
チーム作りは「自分づくりから」
岩出監督の最終目標は、大学選手権に優勝するチームを作ることではなく、
卒業後に学生たちが社会人として周囲の人たちから愛され、信頼され、
幸せに生きていく力を身に着けること。
それらの力が「負けない作法」によって身に着けられると考えているので、
負けないための方法を伝え実践してきた。
「作法」とは、どんな状態であってもそのことはとりあえず横に置いておいて、
ともかく行う決まり事のこと、自分の調子が良くても悪くても
(辛いときや苦しいとき、嬉しくて興奮しているとき、落ち着いて普通の精神状態の時も含む)
必ずしなくてはならない儀式のこと、とされています。
2015年のワールドカップで活躍した五郎丸選手のルーティーンに
通じるところがありそうですね。
それでは作法とはどんなことなのか。
「作法0」自分をニュートラルに保つ方法
身体も心も、真ん中に位置する「ニュートラル」が分からないと自分の目の前の現象に
振り回されて、いつもの自分を見失ってしまう。
そこで、自分を正常に戻し整えることが必要。そのための具体的な方法が
以下の5つを習慣化することだそうです。各論は著書を読んでいただきたいのですが、
全部をこなすのは意外に簡単ではないように思います。
1 環境を整える(整理整頓、掃除など)
2 身体のコンディションを整える(体調管理)
3 マインドのコンディションを整える(精神状態の安定)
4 振り返りをすぐに行う、何度も行う(得た結果を活用するための振り返り)
5 丁寧に日常生活を送る、日常の小さなことに目を配る
このように自分づくりのための作法が0から4まで述べられています。
また、帝京大学ラグビー部では上級生が雑用を行うそうです。
その理由は、1年生はまだ余裕がなく他人のことを考えたり他人のために
行動したりすることができないから。4年生は、自分が下級生の時に
上級生にそうしてもらってきたので、喜んで他人のために立ち働く。
何か月かして余裕がでてきた1年生は、自分が上級生にしてもらってきたことに
気づいて感謝の気持ちが生まれ、自己犠牲ではなく当たり前のこととして
他人のためにも力を発揮できるようになる。
ほかにも「献身と貢献の違い」についての記載や、
「リーダーについて」「キャリアづくりについて」の対談もあり、
ビジネス書としても興味深く読めると思いました。
ちょうど今日は大学選手権の決勝戦です。どんなゲームになるのか楽しみです。
201601/10